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T-1000は、映画『ターミネーター2』に登場するアンドロイド。

設定

2029年にスカイネットによって開発されたターミネーター。従来型とは異なる、流体多結晶合金(液体金属)製のボディを持つ。その硬度は基本となる人型を構成する状態から完全な液状、あるいは刃物のような高い硬度を持つ固体状態まで変化することができる。その特性から、外部からの衝撃によりダメージを負ってもすぐに再生が可能で、従来のターミネーターからは考えられないほどの耐久力を持つに至った。このため、機械的な衝撃により破壊するのは事実上不可能であり、格闘戦では強力な打撃を得意とするT-800を苦戦させた。破壊するには、下記のように変形機構に異常が生じている間に修復不能なダメージを与えたり、高熱や化学変化でT-1000のボディそのものを完全に分解するなどするしかない。

また、自分とほぼ同じ背丈の物(自分の体積とほぼ同じ物体)に擬態できる能力を持つ。特に触れて調べた人物になら、どのような姿にでも擬態できる。コピーした人物は必ず殺すため、その人物と完全に入れ替わることができ、高い隠密性を持つ。この変身能力による擬態は視覚的に完璧であるが、従来型のターミネーターと同じく、犬は何らかの「不自然さ」を察知することができるのか、接近すると激しく吠え始める(ヴォイト家に侵入した際、ジョンの愛犬であるマックスが激しく吠え立てている)。また、腕を変形・硬化させて原始的な白兵戦用の武器として扱うこともできる。実際に劇中では頻繁に指を尖らせたり、腕を剣のようにしたり、鈎爪のように変形させたりしていた。全身を平面化して床などに化ける事も出来、触れた物体の色、模様、質感をほぼ完全に再現できる。しかし銃器や自動車の様な複雑な部品を有する物体や、火薬やガソリン、薬品などの化学反応を伴う物質には変身できない。そのため、劇中で使用した銃器は全て奪うなどして現地調達した物である。

T-1000はターミネーターなので、人間とは異なり利き手や利き腕といった概念は無いはずだが、銃器を使用する際にはなぜか左手で所持して発砲する傾向がある。一方、白兵戦用の武器に変形させた腕に関しては特に左右どちらかに偏る傾向はない。

声帯模写や感情の再現も可能であり、T-800と同様の知能スペックを有する。バイクからヘリコプターに飛び移るなどの機転も利き、初期設定状態での人間の感情や表情を模した行動もT-800よりやや上手く、気の利いたジョークや軽口(劇中でのバイクを奪う時に「ところで…いいバイクに乗っているな(Nice bike)」と声を掛け、またサラのショットガンの弾が尽きたときに指を振って愚弄する等)も言えるようである。

また、このモデルは骨格が無く、CPUや動力源の所在が不明である。小説版や続編などにおいても触れられたことが無い。また、過去にタイムトラベルする際に、「T1」でカイルが「タイムマシンは生物しか送れず、T-800を過去に送れたのは生きた細胞で包まれているからだ」と語っていたが、これが事実であれば人間の皮膚の質感を表面に再現しているだけのT-1000がなぜタイムトラベル出来たのか説明がなされていない(更に後述のドラマ『サラ・コナー・クロニクルス』では、生体組織が破損してかつチップが抜かれて機能停止したキャメロンのボディは転送できず消滅し、一緒に転送されたT-1001はタイムトラベルできたという妙なシーンもある。この際、わざわざ裸の姿に擬態しているため生物反応を偽装したとも取れるが、説明はない)。これはT-Xも同様である。ただし、「T1」でT-800とカイルを送ったタイムマシンは、「カイルが後を追ってタイムトラベルした後、2029年に残ったジョン・コナー達が破壊したはず」とカイルが語っていたため、まったく同一の機能を持ったタイムマシンで送られたとは限らない。

プロトタイプ(ゲーム版『ターミネーター2・ジ・アーケード』における正式名称は「T-1000 ADVANCED PROTOTYPE」)であるためか、若干不安定な性質を持つ。T-800に比べると質量が小さく、T-800は拳銃程度の威力であればほとんど揺るがず即座に反撃するが、T-1000は衝撃を受けると比較的容易に怯むことが多く、再生能力は高いもののそういった点ではT-800より劣っている。極めて強い衝撃を一度に受けるか、そこまではいかない程度の強さの衝撃でも連続的に受けると、形態維持能力が一時的に混乱し、機能が著しく低下して完全な無防備な状態となる(劇中では、至近距離からのショットガンの連射や、グレネードランチャーの直撃など)この間に全体に強力なエネルギーを浴びせられると破壊されてしまう。また、基本性質が液体であるため、極低温環境にさらされると凍結してしまう。劇中では、短期間の内に凍結・粉砕の後に解凍・再生という極めて過酷な状況にさらされた結果、触れた物質の質感を無条件でコピーしてしまう等、擬態能力の一部に機能不全を起こしていた(後半では上半身は最初にコピーした警官の制服で、下半身は白バイ警官の制服になっており、ここでも機能不全が現れている)。その後、サラのショットガンの連発や、T-800のM79グレネードランチャーにより一時動きが鈍り、バランスを崩して溶鉱炉に転落。銑鉄に溶けて消滅した。

思考面などが高性能化したが、それ故に機械としては必ずしも以前のTシリーズより優秀とは言えない点も散見される。前述のようにジョークを言うなど人間らしさが強化された一方、感情的な反応を見せることや自信過剰な面がある。速く走れるにも拘らず嬲るようにゆっくりと歩いて近づいてきたり、すぐに止めを刺さず愚弄したり、T-800のとどめを刺し損ねたりするなどといった隙を突かれて反撃されてしまうことが多い。また、「ジョン・コナーの抹殺」という自身に課せられたプログラムに従ってしか動いておらず、旧型のT-800やサラは妨害に出ない限り積極的に抹殺しようとすることはなく眼中にないような行動も多く、これも敗因の一つとなった。戦闘においても自身のボディを変形させての白兵戦が前提のため、武器を使うことを重要視していないようで、火器はたまたま入手したものしか使っておらず、銃器の扱いもT-800に比べるとあまりあまり工夫が見られない。

後の2032年にT-Xが開発されたため、生産中止となった模様。製作そのものが難しかったという映画上の設定がされていた。ただし、『T2』の直接的な続編である『ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ』には、T-1001という液体金属型のターミネーターが登場しており、ある程度の改良は行われていた模様。また、同ドラマ中の「歴史が変化して生まれた別の時間軸の未来(ジェシーのいた未来世界)」では3機目のT-1000型も登場している。

変身形態

映画では大きく分けて2つの変身像(警官・白バイ警官)が見られるが、一時的なものも含めすべて記載。

スキャニング
タイムスリップ直後に警官を殺し、制服のみをコピー。その後、パトカーの中にある小型PC端末に一旦触れてから操作してるところからすると、触れるだけで機械の使い方も読み取れる模様。また拡張特別編ではジョンの部屋を指先で触れて捜索し、ポスターの裏に隠してあった写真を発見した。刃物はジョンの養母に擬態して料理をしているときにコピーした。
裸体
未来からタイムスリップしてきた直後は裸。未来から転送される際に発生した電波に気付いたパトロール警官を狙い、制服姿を真似る。
警官
映画序盤から中盤に掛けて多く見られる。一見制服を着ているように見えるが、実はこれも擬態で体表面を変化させて「制服を着ているように見せかけて」いる。但し先述の殺害した警官から奪った拳銃だけは本物。
ジャネル・ヴォイト(ジョンの養母)
ジョンの帰りを狙い、ジャネルを殺して成りすまし待っていたT-1000であったが、電話越しの会話からT-800に見事見抜かれ欺かれた(このシーンは完全版の方が明確に表現されている。T-800がジョンの愛犬の名前を偽って話しかけたものの、T-1000はそれに気付かずに会話を続けた。つまり、養母は偽物)。
余談だがT-800は養父トッド・ヴォイトも殺された事も見抜いた。また、映画ラストで模した像が次々に現れるシーンでは腕のナイフの位置が左右逆である(これは液体窒素によって凍らされ、破壊された挙句に急激に解凍されるという過酷な状況にさらされたことによるバグ、溶鉱炉による熱ダメージの影響かと考えられる)。
精神病院のスタッフ
床に水溜り状に潜み、スタッフが知らずに歩き過ぎたところで相手のデータを読んで擬態。ただ性格だけは元の「昆虫のようなT-1000の性格そのまま」である。このシーンではスタッフ役の役者が双子という特殊な事情から成功したシーンでもある。本物を殺害し、サラを殺すためしばらくこの姿で病院内を歩き回り、サラを探した。
白バイ警官
ヘルメットにサングラス姿(これも頭部の表面を変化させて身につけているように見せかけている)で目が隠れているためか、普通の時よりさらに無表情、最も不気味でT-1000らしさが存分に出ている。ストーリーの後半の多くがこの擬態である。奪った無線機からサイバーダイン社に急行する指令無線を受信した。サイバーダイン社にバイクに乗ったまま入り込んでT-800たちがトラックで逃走している事に気付き、ヘリコプターに突っ込んで乗り込みT-800たちを追い掛け回した。この時だけはヘリのパイロットを殺さずに飛び下りるように指示する(もっとも、高所を飛行中のヘリから飛び降りさせられたパイロットは、どう考えても無事とは思えない。小説「新ターミネーター2」ではヘリから落下して死亡したと明言されている)。もしパイロットを殺せば機体重量のバランスを崩して墜落の危険があることを感知していたのかも知れず、高度な判断力があることを示唆している。その途中、T-800にヘリを破壊され、液体窒素を積んだタンクローリーに乗り換えた。ヘリを操縦しているとき、よく見ると腕がさらに2本生えており、下の腕でヘリの操縦をし、上の腕でサブマシンガン(MP5K)の発砲・銃弾の再装填を行っていた(ヘリは両手でそれぞれに操縦桿とコレクティブピッチレバーを持って操作しなければバランスが取れないためである)。ここでもT-1000の能力の高さが伺える。
破片
液体窒素を浴びて冷凍化された上記の状態のT-1000が、T-800に撃たれた衝撃で細かくバラバラになったもの。溶鉱炉の熱で融解・再生し普通の警官姿に戻る。しかし、T-1000はプロトタイプであるため、この際の急激な凍結・粉砕・解凍を受けて擬態機能にバグ(金属に触れると、触れている部分やその周辺が触れている金属に同化してしまう・上半身と下半身の擬態がおかしいことに気が付かない等)が発生する。
サラ・コナー
サラを脅迫した時にデータを読み擬態。しかし、先述の擬態機能の異常により足が金網の格子模様になっていたためにジョンを騙すことはできなかった。このシーンも双子であるリンダ・ハミルトンとその姉のレスリー・ハミルトンによって成功したシーンである。実際は手前のT-1000をリンダが、奥のよく見えないサラをレスリーが演じ、バストショットになる際はリンダが演じている。

VFXの製作過程

このT-1000の特徴的な変形はコンピュータグラフィックスと特殊メイクを駆使して製作されている。同監督のSF映画『アビス』で登場した、人の顔に変形する海水のシーンで使用されたCG技術を発展させ、T1000の液体金属のCGが作られた。当時としてはまだ発展途上段階であったデジタルモーフィングの技術や、カメラのブレとCGキャラクターの動きを同調させるマッチムーブ技術等もふんだんに活用され、90年代当時としては極めて高い品質で表現することに成功した。巧妙に作られた粘土をつけた特殊メイクも併用されており、銃撃による一時的な弾痕、腕の一部が刃物に変形しているシーンなどで見ることができる。尚、金属体時の動きをCGで作成するため、演じたロバートは体中に線を書かれた上パンツ一丁で街中を歩かなければならず、撮影現場のすぐそばを通っていた一般人から奇異な目で見られていた。本人は当時を振り返って「街行く人たちの自分を見る視線が非常に痛かった」とコメントしている。

T-1000のキャラクタ構想は、T-800と正反対のイメージで作られた。監督曰く「T-800シリーズは頑丈なだけの装甲車で、T-1000シリーズは柔軟性がある高性能のポルシェ」。このキャラ構想は当初『T1』の設定であり、「細身の人型アンドロイドが実は強い」というキャラ設定を『T2』でようやく実現できた形となった。

T-1001

T-1000の改良型であり、『ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ』に登場する。ゼイラ・コーポレーションの女社長キャサリン・ウィーバーに成り代わっていた。

基本的な性能はT-1000のそれを受け継いでいる。だが、T-1000が多くの場合ゆっくりとした変形を行っていたのに対し、こちらはかなり高速での変形が可能で(映像処理技術の上昇によるものもあるだろうが)、後述の人類抵抗軍に捕獲されたT-1001は液体状態のまま体をヘビのように変化させて高速で這い動く・大ジャンプして天井裏に逃げる・水中を泳ぐといったかなり激しい動きも見せている。

思考回路もより高度となっており、社員に自らの悪口を言われ、トイレの便器に擬態した姿から元の姿に戻った際に、「悪かったわね」と言ったり、その直後に暗殺を済ませて「私もムカついていたの」と発言するなどT-1000と比べ、より人間らしくなっている。またキスをするように見せかけ、相手の口から体内に侵入するなどの殺し方もした。ただし、それでも人間と比べればかなり異質で、理論的であるが無感情すぎる対応、相手の心理を理解しきれず初歩的な質問をするなどなど、困惑させることも多々あり(周囲からは夫をなくしたショックで精神的に不安定になったと見られていた)、娘のサバンナ(本当のキャサリンの遺児)からは異常な変化から怖がられていた。キャサリンも周囲の反応からそれを理解しており、本物のキャサリンが残したビデオを見たりエリソンと相談するなどして、どうにか人間に近づこうとしていた。

初登場の回では、デルクのいた未来世界でスカイネットへと変化したチェスコンピュータ「ターク」を裏ルートで手に入れ、それを基に人工知能の開発を行う計画「プロジェクト・バビロン」を社内に立ち上げ、視聴者にはスカイネットの開発を試みているように登場した。だが、その後の回ではスカイネットが抹殺を試みた心理学者をタークの教育係にする(セカンドシーズン6話)、キャサリンが単独で破壊した工場内で未来世界のハンターキラーに酷似した兵器が極秘に開発されていた(セカンドシーズン13話)、タークが成長して誕生したAI「ジョン・ヘンリー」に対してエリソンが命の尊厳を教えたことに満足を見せるなど、スカイネットに対して不利となる行動が見られ始め、謎が深まっていく。

最終話にて、実は彼女の正体は人類抵抗軍側のターミネーターであることが判明。更に、後述の未来におけるT-1001型の捕獲・輸送から見て、彼女は再プログラミングされたのではなく、自らの意思で人類抵抗軍に味方したターミネーターである。その任務は「スカイネットに対抗できるコンピュータ」を作り出すことであり、ジョン・ヘンリー(ターク)がそれであった(工場爆破の件のように、歴史改変のため作中の時間軸ではターク以外のコンピュータからスカイネットが誕生していた)。

なお、登場人物であるジェシーのいた未来世界では、このキャサリンとなった個体とも違う3機目の液体金属ターミネーターが登場している(セカンドシーズン19話)。このターミネーターはジョン・コナーから「仲間にならないか」と声をかけられており(後にキャサリンとなる個体を探していたのだと推測される)、凍結されて潜水艦で輸送されていた。だが、積荷の正体を不信がった兵士たちが独断で開放してしまい、潜水艦を破壊されて脱出を試みるジェシーに「ジョンに伝えろ、答えはノーだ」と協力拒否を表明して自身も脱出した。

使用銃器

  • H&K MP5K
  • ベレッタM92
  • FN ブローニング・ハイパワー

俳優

T-1000
T-1001
  • シャーリー・マンソン

関連項目

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